作品集

解説の多くは,作者飯沢さん自身によるものです。

天文


天文学者

天王星の発見者であるウィリアム・ハーシェルの妹にして女流天文学者であるカロライン・ハーシェルを題材とした絵皿。直径28cm。

A CLOISONNE PORTRAIT OF CAROLINE IN AGED カロライン・ハーシェル晩年の肖像
この七宝肖像作品はドイツのハノーバー歴史博物館発行の冊子(”Stadtgechichliche Abteilung"1970)に載っている銅板画で、Georg Busseの作、を下敷きにし、天文学者カロラインの業績の中でも特筆すべき、彼女独自で「生涯に8個の彗星を発見した」ことを画面に取り入れています。
関連読物は日本ハーシェル協会のホームページ/デジタルアーカイブ


カロライン・ハーシェルが発見した8彗星

 Coma かみのけ座と1786
カロライン・ハーシェルが彗星探査を始めて、最初に発見したのがこの年8/1日の夜。おおぐま座の後足19番星からかみのけ座(ギリシャ神話で、ビーナスに捧げたエジプト/プトレマイオス3世の妃、ベレニケ2世の美しい髪という)の方向に経路をとったことを現した作品。Comaの右にしし座、尾の部分と右下にビーナスの神殿をイメージして建物を配しています。

Lyra こと座と1788
第2番目は12/21日夜、こと座β星近くに星雲状の天体を発見した(今ではハーシェル・リゴレー彗星と呼ばれている)。この彗星はβ星を通り、りゅう座の方向に進んだことを現しています。

Pegasus ペガスス座と1790
第3番目はこの年1/7日夜、ペガスス座の東端に発見。ぺガスス座を囲むのは、いるか座、こうま座。蹄の先に天の川を取り込んでいます。

Cassiopeia カシオペヤ座と1790
第4番目の発見は4/18日夜明け前、アンドロメダ座α星近くであった。その後「カシオペヤ座の中を通って、尾が見えた」のを作品化したもので、天の川,画面左側に五角形でケフェウス座を配しました。

Lacerta とかげ座と1792
第5番目はとかげ座で1791年12/15日夜に発見し、「巾広の尾も見えた」。作品は天の川に前足をかけている”とかげ”と、はくちょう座、ぺガスス座、アンドロメダ座の各部分を取り込みました。

Ophiuchus へびつかい座と1793
第6番目の彗星はこの年10/7日夜、へびつかい座西部(腰のあたり)に発見した。”へびつかい”の足下にさそり座、その右にてんびん座。又右足の脛あたりの女性は”小惑星ナガヌマ”のつもり。これはこの作品を制中の2000年12月末、”ナガヌマ”星がへびつかい座にあったことによる 遊び です。

Cygnus はくちょう座からへびつかい座へ と1795
第7番目の彗星はこの年11/7日夜、はくちょう座西部に発見した。カロラインはこの彗星がへびつかい座の方に経路をとったのを追跡観測したことをあらわした作品。この彗星、今では エンケ彗星 と呼ばれている。

Draco りゅう座と1797
第8番目、カロライン発見最後の彗星となった。今ではバーブル・ハーシェル彗星と呼ばれるこの彗星は8/14日に発見、17日に北極星の近くを通り、りゅう座へと経路をとった。ギリシャ神話によると、世界の西の果てにあるヘスペリデースの園で金のりんご(作品中央やや下を注目−−これは星座ではなく神話に因み私が創造したものです−−)の木を守った竜という。


星座

ふたご座。
直径21.5cm。

しし座
直径21.5cm。


天文以外


「宙の花」
27.5cm*18.5cm。